実はとても長い、訪問看護の歴史

現在、訪問看護は介護保険法によって医療、

介護のサービスとして明確に規定されていますが、

その介護保険法が制定されたのが2000 年です。

それでは2000 年以前は訪問看護が存在しなかったのかというと、

そんなことはありません。

看護の歴史がとても長いのと同じように、

訪問看護にも実に長い歴史があるのです。

あまり知られていませんが、実は日本における「看護」の起源は、

聖徳太子の時代にまでさかのぼります。

大阪の四天王寺といえば聖徳太子が建立した最古のお寺として有名ですが、

この周辺には日本の看護のルーツとなる施設が存在していました。

そもそも看護は宗教にある慈悲の精神を実践する形で始まったものなので、

日本における看護は古代の仏教が起源となっています。

現在の大阪市天王寺区にはかつての施薬院や悲田院といった「看護施設」が

点在し、病人や恵まれない人などを収容して手当てをしていたそうです。

悲田院については今も地名としてしっかりと残っています。

しかし、こうした原始的な看護の担い手は当時の僧侶であり、

現在のように看護師という職業が確立しているわけではありませんでした。

当然ながら医療や介護の専門家でもない人たちが担い手となっていました。

現在の日本で提供されている看護サービスは、欧米で確立した仕組みです。

明治維新とともに日本に入ってきた看護の文化が日本でも根付き、

今に至っています。看護は病院でするもの、

それ以外の病人の世話は家庭でするものという意識が長らく続いてきたのですが、

現代になると家庭にも医療の手を差し伸べる必要があるという声が高まり、

派出看護婦という現在の訪問看護の草分けのようなものが誕生します。

イギリスで派出看護婦が担い手となる地区巡回看護という考え方が確立され、

その中には現代の訪問看護と呼べるようなサービスが含まれていました。

これらは戦前の話ですが、日本では戦後になってさらに

看護という職業の独立性が強くなり、その中に訪問看護という

ひとつのサービスやスキルが確立してきたのです。

こうして見ると、看護や訪問看護の歴史というのは

人類の文明とほぼ同じだけの歴史を持っていることが分かります。

私たちが今行っている訪問看護というサービスは、

こうした長い歴史の中で進化し、多くの人の努力によって

確立してきたものだということを意識すると、

自ずと仕事に対する誇りや使命感が湧いてくる思いがします。

とても重要な、訪問看護ステーションと各方面との連携

訪問看護は、介護保険法にも規定されている介護サービスの一種です。

介護サービスの司令塔というと、通称ケアマネと呼ばれるケアマネージャーです。

ケアマネージャーの判断によってサービス提供の依頼があると、

訪問看護ステーションはそれに基づくサービスの提供を行います。

そして訪問看護ステーションからはサービスの報告やサービス提供を

通じて気づいたことなどの情報をケアマネージャーに伝達します。

これが訪問看護サービスの一連の流れなので、ここで重要になるのが

訪問看護ステーションとケアマネージャーとの緊密な連絡や情報の共有です。

なぜなら、訪問看護ステーションという「現場」からいかに正確で

新しい情報がもたらされるかによって、ケアマネージャーが適切な判断を

できるかどうかが決まるからです。

ここもうひとつ、重要になるのがかかりつけ医師との連携です。

ケアマネージャーとの連携と同じように、かかりつけ医師からの指示や

申し込みによって訪問看護サービスが提供されるわけですが、

やはりその「現場」からの最も正確な情報は、訪問看護師からもたらされます。

ケアマネージャーも、かかりつけ医師も、訪問看護の現場の生きた情報が

なければ正確で適切な判断を下しにくいので、

情報を共有することがいかに重要であるかが分かります。

このことはもちろん、「訪問看護ステーションおとのい」でも認識しています。

私たちのサービスだけが良ければそれで良いということは絶対に成り立たず、

利用者様を取り囲むように存在している各方面と正確に情報を共有することが

サービス向上の成否を分けます。

こうした連携の重要性は、介護サービスの質的向上というだけでなく、

利用者様本人にとっての安心感にも影響します。

「ちゃんと各方面が情報を共有出来ていてベストを尽くしてくれている」

ということが伝わると、利用者様本人だけでなくご家族にも大きな

安心感となって伝わります。

今は、情報通信の手段が発達している時代です。

「訪問看護ステーションおとのい」も、効率の良い方法を駆使しながら

各方面の連携や情報共有を密にすることで、

サービスと安心感の向上を目指しています。

ターミナルケアで大切なこと

どんな人にも、人生の最後があります。

それが病気という形、しかも癌などの命に関わる病気で最後を

迎えつつある方の「残された時間」をいかに有意義なものにするか。

ターミナルケアに対する社会的な期待値や使命が高まっています。

ターミナルケアは看取りケアとも呼ばれ、

人生の終わりが近づいている利用者様の残された時間に対するケアのことです。

延命や病気を治す治療ではなく、痛みや症状の緩和や精神面でのケアが

中心になっているのが特徴で、病院ではホスピスと呼ばれているものです。

ターミナルケアの最大の特徴は、病院ではなく住み慣れた自宅でケアを

受けられること。

人は誰でも、人生の最後が近づいているという限られた時間の

過ごし方として住み慣れた家で、心を許せる人と過ごしたいと思うものです。

このこと自体は自然なことでご家族も同じ思いをお持ちかも知れませんが、

問題はご自宅が病院ではないということです。

どんなにメンタルが強い人であっても、ご自身の死が近づいていることに

穏やかでいられるかというと、なかなかそうはいきません。

感情的になったり不安になったりするのは、これまた自然なことです。

ご家族にそのすべてを受け入れてくださいというのは酷なことでもあります。

訪問看護のターミナルケアには、利用者様に医療という光を当てるだけでなく、

医療の光が当たっている」ことを認識してもらうことで得られる

安心感をお届けするという大切な役割もあります。

また、病気で終末期を迎えている人というのは、

いつ容体がどんな形で急変するか分かりません。

昼間にそれが起きるとは限らず、真夜中に容体が急変するかも知れません。

そのため、訪問看護ステーションは24時間営業である必要があります。

「おとのい」もターミナルケアをご提供する訪問看護ステーションとして、

利用者様だけでなくそのご家族に満足していただける態勢を構築しています。

人はさまざまな人生を送り、1人として他人と全く同じ人生を送る人はいません。

それと同じように終末期の時間の過ごし方も人それぞれ。

「おとのい」はそれぞれの利用者様やそのご家族にとってオリジナルであり

オーダーメイドである訪問看護のあり方を常に模索しています。

訪問看護が居宅だけ?「居宅しばり」の問題とは

まだまだ制度的にも始まってからそれほど時間が経っていないので、色々と不備や不足が指摘されている訪問看護ですが、今回はその中でも「居宅しばり」についてお話をしたいと思います。
訪問看護には法的な根拠があります。健康保険法の第88条で定義されており、そこには「その者の居宅において療養上の世話又は必要な診療の補助を行う」と書かれています。ここで注目したいのは、最初にある「その者の居宅において」という文言です。
この文言があるため、訪問看護の訪問先は利用者様が住んでいる場所に限定されています。ここでいう居宅というのは、老人ホームなど事実上の居宅スペースも含まれています。
ここで問題になるのが、利用者様の居宅以外は考えなくても良いのか?という部分です。訪問看護が本来持っている精神には、通院や入院ではなくその人が普段過ごしている場所で医療を提供することで安心感や利便性を得ることも含まれています。職場や学校など、その人が過ごす場所は必ずしも居宅だけとは限らず、一日のうち多くの時間を過ごす場所も対象にしないと本当の意味での訪問看護の目的が果たせない、というわけです。
こうした問題により、訪問看護を希望しているにも関わらず居宅以外で医療が受けられないということで、入院を余儀なくされる事例もあります。こうなってしまうと本末転倒なので、訪問看護は時代のニーズに合わせて適宜制度を見直しながら良いものにしていくことを期待します。

働きやすい職場ってどんな職場?

訪問看護ステーション おとのいでは、私たちと一緒に訪問看護の現場で活躍していただける看護師さんを常時募集しています。というのも、訪問看護への需要の高まりを受けて、その期待に十分にお応えするにはまだまだスタッフの充実を図る必要があるからです。
一緒に訪問看護の現場で活躍してもらうには、相応の環境が必要だと思います。そこで出てくる言葉が「働きやすい職場づくり」ですが、そもそも働きやすい環境って何でしょう?
私は働きやすさを決める最も大切なことは、その人のやり方、価値観を尊重することだと思います。私たちと一緒に働くことになった人というのは、縁あって同じ目標に向かって頑張ることになった人です。すでに同じ目標を共有できているので、そのための方法は人それぞれのやり方があっていいと思います。
看護師さんという職業は、とてもクリエイティブな仕事だと思います。すべての仕事が人を相手にするものなので、その対象によって接し方や看護の進め方を無意識に工夫します。しかも、その工夫の仕方はそれぞれの看護師さんにオリジナルの方法があって、結果としてそれが目的を達成するものであれば、「良い仕事ができた」という評価になります。
訪問看護ステーション おとのいでは、100人の看護スタッフがいれば100通りのやり方があっていいと考えています。利用者様だけでなくご家族にも安心してもらえる看護、満足してもらえる看護の形を、ご自身の形で作っていけるような看護師さんとの出会いを楽しみにお待ちしています。