利用者様にとってはホーム、看護師にとってはアウェイ

訪問看護の良いところとして、利用者様が最も強く感じられるのが、

「自分がホーム」でケアを受けられるということです。

ホームというのは自宅という意味だけでなく、

スポーツ競技のホーム&アウェイのように、

自分の本拠地という意味も含まれています。

利用者様にとってご自宅は最も多くの時間を過ごす場所であり、本拠地です。

プロ野球でもホームグラウンドだと勝率が高いチームが多いように、

やはり自分のホームというのは安心感が大きく、

精神的なリラックスも得られる場所です。

しかし、その一方で訪問看護師にとって利用者様のご自宅はアウェイです。

病棟勤務しか経験をしていない看護師さんにとって、

訪問看護で訪れるアウェイ空間は最初面食らうこともあるといいます。

しかし、少しするとアウェイであることが実は

訪問看護師にとってもメリットであることに気づかされます。

なぜなら、利用者様にとってホームという環境のほうが、

利用者様ご自身が安心できるのでケアをしやすいからです。

病棟の場合は看護師にとってホームですが、患者さんにとってはアウェイです。

看護師は国家資格を持ったプロなのですから、

ホームである必要はそれほどありません。

むしろ患者さんに安心してもらった方がQOL も高くなるので、

「この患者さんは自宅でケアをした方が・・・」という意見も出たりします。

以前はこうした時に適切な選択肢がありませんでしたが、

今では訪問看護という仕組みがあります。

介護サービスの一環として介護保険も使えるので、

利用者様の精神的な安心やQOL を考えると、

むしろその方が看護師も助かるということも多いのです。

訪問看護は、利用者様ご本人だけでなくそのご家族に対しても

メリットのあるサービスです。

専門的なケアをプロに任せることができるだけでなく、

緩和ケアなどによって苦痛が和らいでくれれば、

やはりご家族も安心感が大きくなります。

プロ野球でも、ホームグラウンドでしか勝てないわけではありません。

アウェイのスタジアムに行っても強いチームはしっかりと勝利します。

プロにとってのアウェイとは、これと同じなのだと思います。

いいケアマネージャーってどんな人?

訪問看護の世界には、ケアマネージャー(通称ケアマネ) という

キーマンがいます。

介護保険のプロで、介護プランを作成する立場なのですから、

いわば介護のプロデューサーのような存在です。

介護プランを作成するということは、

ケアマネージャーのスキルや人間性によって介護サービスの内容にも違いが

出てくるので、ケアマネージャーの当たり外れがまことしやかに囁かれています。

医師や看護師、ケアマネージャー、それぞれ人間が

主役の職業なので人間の相性や当たりはずれは、当然あると思います。

では、「いいケアマネージャー」というのは、

どんな人のことを言うのでしょうか。

ケアマネージャーとしてのスキルや経験が十分に備わっているというのは、

絶対条件です。

毎年国家資格に合格した人たちがケアマネージャーとして

世に送り出されてくるのですから、毎年のように新人さんがデビューしています。

経験がものをいう職業だけに、経験が浅いというのは

「いいケアマネージャー」になるために根本的に不足する点があるでしょう。

いい人であっても、それは別問題です。

また、ケアマネージャーは自分の判断によって利用するサービス業者を

選定することもできます。

当然業者の立場としては、ケアマネージャーに

選んでもらいたいからということで良い条件を出したり、

自分のところでケアマネージャーを抱えたりします。

この状態で中立的な提案やケアプランの作成ができるかというと疑問なので、

このあたりもひとつの判断基準になると思います。

また、ケアプランの作成には正確な情報収集が欠かせません。

通り一遍の仕事をしているだけだと現場に即したプランを作成できないので、

丁寧なヒアリングをする人、自分の足で動く人が

いいケアマネージャーと言えそうです。

訪問看護もケアプランの一環として提供するものなので、

ケアマネージャーが適切なケアプランを作成しないことには、

私たちも動くことができません。

介護に関する情報が集まる職業でもあるので、

利用者様やそのご家族は「いいケアマネージャー」との

出会いも大切にしてほしいと思います。

ご存知ですか?ケアマネージャーはいつでも変更できます

訪問看護を含む介護サービスのキーマンである、

ケアマネージャー(ケアマネ)。

正式名称を「介護支援専門員」というだけあって、介護のプロです。

難しい国家試験に合格しなければ業務をすることができない職業なので、

これからの高齢化を見越してケアマネージャーを志す人は多くなっています。

現在はまだケアマネージャーが不足気味なので、

1 人のケアマネージャーが抱えている案件数が多いことがあります。

特に人気の高いケアマネージャーともなるとその傾向は顕著で、

なかなか一人一人の利用者様に目が行き届かないといった不満も聞こえてきます。

ところで、このケアマネージャーは利用者様やご家族の意向によって

いつでも変更できることをご存知でしょうか。

あくまでも「利用者」という名前の通り、クライアントは利用者様です。

利用者様が気に入らない、不満があるというのであれば

ケアマネージャーを他の人に変更することができます。

これはかかりつけ医と似た関係で、長い付き合いのお医者さんから

別のお医者さんに乗り換えるのは心情的にしり込みしてしまうものです。

特に私たち日本人はそういったことが苦手な国民性なので、

ついつい不満がありながらも同じケアマネージャーに任せてしまいがちです。

しかし、不満があるのにそのまま我慢をするのは利用者様ご本人だけでなく

ご家族にも大きな負担となります。

しかも不満があるとそこばかりが気になってしまい、

余計にストレスが大きくなってしまうでしょう。

別のケアマネージャーに相談をするのは実に簡単で、

別の事業所に電話などで問い合わせをするだけです。

その場合、すでに別のケアマネージャーとの関係があることを伝えたとしても、

「なぜですか?」と聞かれたりすることもないので、ご安心ください。

介護サービスの中でもターミナルケアは終末期のサービスなので、

残された時間がそれほど多くはありません。

「もっとこうしてあげれば良かった」と後悔しても取り返すことができないので、

ターミナルケアで不満や不具合があるという場合は、

なおさら早めの検討をおすすめします。

訪問看護アクションプラン2025をご存知ですか?

日本看護協会という団体が旗振り役を務め、国をあげて進められている

「訪問看護アクションプラン2025」という取り組みがあります。

2025 というのは2025 年に期限を定め、

それまでに目標を達成するために動くというものです。

日本は高齢化社会への道をひたすら進み続けていますので、

訪問看護のニーズも年々高まっています。

しかも、日本はご自宅で亡くなる方が1 割程度であるのに対し、

欧米諸国では3 割程度となっており、

まだまだ日本では「最後の大切な時間を自宅で過ごしたい」という

ニーズに応えきれていないことが分かります。

このアクションプランは、こうした問題を指摘しています。

人生の最期をご自宅で迎えるためには、

ご自宅で適切な介護や医療のサービスを受けられる環境が必要です。

その担い手が訪問看護なので、このアクションプランでは

もっと訪問看護ステーションを増やし、

訪問看護師も増員していくというゴールが設定されています。

これは私も愕然としたデータなのですが、

日本は訪問看護師の人口当たり人数が圧倒的に少ない現状があります。

福祉大国と言われるスウェーデンでは、

人口4.2 人に1 人の比率で訪問看護師がいます。

しかも在宅死亡率はなんと51% ということで、

半数以上の方が自宅で亡くなっています。

さすが福祉大国、単なる小手先だけではなく、

福祉とはどういうものかを本質的に理解し、

そのための仕組みが機能していることが伝わってきます。

続いて、オランダは2.7 人で在宅死亡率が31%。フランスが1.2 人で、

在宅死亡率は24% です。

スウェーデンやオランダを見た後なので低福祉に感じてしまいますが、

人口比で1.2 人という数字は訪問看護師不足で悩む可能性が

低いので羨ましい限りです。

では、日本はどうでしょうか。

人口比で0.4 人! 1 人を大きく下回っています。

現場では訪問看護師不足が慢性的なものとなっていますが、

このデータを見ればそれも納得です。

この訪問看護アクションプラン2025 は、ここで挙げたような福祉先進国に

少しでも近づこうということが趣旨の取り組みです。

いきなりスウェーデンのようになるのは無理としても、

看護師の増員など現場から要望したいことは山のようにあります。