訪問看護ステーションはスキルと経験の宝庫

病棟で勤務している看護師と、

訪問看護師は同じことをやっているように見えて、

実はかなりその内容は異なります。

もちろん同じ看護師免許でその職に就くことはできるのですが、

仕事を通じて身につくスキルにもずいぶん違いがあります。

訪問看護の現場は、言うまでもなく利用者様の居宅です。

病院ではないので設備面でもまるで違いますし、

そもそも居宅というのは医療を受けるための空間ではありません。

そのため、訪問看護師はその場所で少しでもうまく看護を提供するために

さまざまな工夫をしています。

この工夫の積み重ねが、看護師としてのスキルをどんどん高めていきます。

当初の予定通りの看護内容とはならず利用者様に何か急な変化が起きていたり、

想定外のことが起きることもあるでしょう。

そんな時に冷静に対応する訪問看護師の姿は、

ご家族から見ればとても頼もしいプロに映るはずです。

これこそが訪問看護の現場で、実際に活躍している看護師さんにとっては

これがやりがいだとも言います。

また、訪問看護の現場では利用者様やそのご家族からさまざまな相談や

質問を受けることがあります。

目の前にいるプロに色々と相談したいのは利用者様にとって自然なことですが、

逆に考えるとそれだけ頼りにされているということです。

そんな場面を経験するうちに即答できるだけの知識が

どんどん身についていきますし、コミュニケーションスキルという

現場でしか鍛えることができない能力も身につきます。

訪問看護ステーションは、そんなノウハウの宝庫です。

看護師としてのスキルを磨きたい、もっと何でもできる看護師になりたいと

お考えの方にとっては理想的な環境だと思います。

訪問看護ステーションとケアマネージャーの間に横たわる諸問題

訪問介護サービスをより良いものにするためには、

ケアマネージャーやかかりつけ医師など、

関係各所との緊密な連絡が欠かせません。

正確な情報を共有することでサービスが向上するだけでなく、

利用者様やそのご家族に安心感を与えることができるのも、大きなメリットです。

そこでさまざまなコミュニケーションを取るわけですが、

お互いに立場が異なるだけにすべてがスムーズにいく時ばかりではありません。

実際にコミュニケーションにおいて現場では

課題に感じていることいくつかあります。

まず、訪問看護師とケアマネージャーの双方が、

もっと情報の共有が必要であると考えていることが明らかになっています。

IT の時代なので情報を共有する方法はいくらでもあるのですが、

問題は情報の中身です。

一番知りたいこと、一番知っておいてほしいことが

うまく伝わっていないというコミュニケーションの不足感を

課題に挙げる人は実に多くいます。

次によく指摘されていることとして、病状など医療的な情報を

うまく伝えられない、共有できていないと感じている人が多いことです。

訪問看護師は看護師の資格を持つ医療従事者ですが、

ケアマネージャーは介護のプロであり医療従事者ではありません。

医療的な知識や専門用語となると苦手意識を持っているケアマネージャーも

少なからずいるので、そのことが情報の伝わりにくさに

つながっているという指摘があります。

逆に、ケアマネージャーの側から見た訪問看護師というのは、

医療従事者ではありますが介護のプロではありません。

特に介護保険の仕組みは複雑なことも多いので、

ケアマネージャーしか知りえないようなこともあるでしょう。

その部分において、訪問看護師に伝えにくいというもどかしさもあるようです。

こうした課題から浮かび上がってくるのは、

やはりコミュニケーションの不足や齟齬(そご) でしょう。

コミュニケーションの重要性はどんな仕事にも共通していますが、

こと医療や介護となるとその重要性はさらに高くなります。

相互理解を進める意味でもコミュニケーションの重要性をしっかりと認識して、

敢えてそれを意識して取り組むという姿勢が必要だと常に感じています。

実はとても長い、訪問看護の歴史

現在、訪問看護は介護保険法によって医療、

介護のサービスとして明確に規定されていますが、

その介護保険法が制定されたのが2000 年です。

それでは2000 年以前は訪問看護が存在しなかったのかというと、

そんなことはありません。

看護の歴史がとても長いのと同じように、

訪問看護にも実に長い歴史があるのです。

あまり知られていませんが、実は日本における「看護」の起源は、

聖徳太子の時代にまでさかのぼります。

大阪の四天王寺といえば聖徳太子が建立した最古のお寺として有名ですが、

この周辺には日本の看護のルーツとなる施設が存在していました。

そもそも看護は宗教にある慈悲の精神を実践する形で始まったものなので、

日本における看護は古代の仏教が起源となっています。

現在の大阪市天王寺区にはかつての施薬院や悲田院といった「看護施設」が

点在し、病人や恵まれない人などを収容して手当てをしていたそうです。

悲田院については今も地名としてしっかりと残っています。

しかし、こうした原始的な看護の担い手は当時の僧侶であり、

現在のように看護師という職業が確立しているわけではありませんでした。

当然ながら医療や介護の専門家でもない人たちが担い手となっていました。

現在の日本で提供されている看護サービスは、欧米で確立した仕組みです。

明治維新とともに日本に入ってきた看護の文化が日本でも根付き、

今に至っています。看護は病院でするもの、

それ以外の病人の世話は家庭でするものという意識が長らく続いてきたのですが、

現代になると家庭にも医療の手を差し伸べる必要があるという声が高まり、

派出看護婦という現在の訪問看護の草分けのようなものが誕生します。

イギリスで派出看護婦が担い手となる地区巡回看護という考え方が確立され、

その中には現代の訪問看護と呼べるようなサービスが含まれていました。

これらは戦前の話ですが、日本では戦後になってさらに

看護という職業の独立性が強くなり、その中に訪問看護という

ひとつのサービスやスキルが確立してきたのです。

こうして見ると、看護や訪問看護の歴史というのは

人類の文明とほぼ同じだけの歴史を持っていることが分かります。

私たちが今行っている訪問看護というサービスは、

こうした長い歴史の中で進化し、多くの人の努力によって

確立してきたものだということを意識すると、

自ずと仕事に対する誇りや使命感が湧いてくる思いがします。

とても重要な、訪問看護ステーションと各方面との連携

訪問看護は、介護保険法にも規定されている介護サービスの一種です。

介護サービスの司令塔というと、通称ケアマネと呼ばれるケアマネージャーです。

ケアマネージャーの判断によってサービス提供の依頼があると、

訪問看護ステーションはそれに基づくサービスの提供を行います。

そして訪問看護ステーションからはサービスの報告やサービス提供を

通じて気づいたことなどの情報をケアマネージャーに伝達します。

これが訪問看護サービスの一連の流れなので、ここで重要になるのが

訪問看護ステーションとケアマネージャーとの緊密な連絡や情報の共有です。

なぜなら、訪問看護ステーションという「現場」からいかに正確で

新しい情報がもたらされるかによって、ケアマネージャーが適切な判断を

できるかどうかが決まるからです。

ここもうひとつ、重要になるのがかかりつけ医師との連携です。

ケアマネージャーとの連携と同じように、かかりつけ医師からの指示や

申し込みによって訪問看護サービスが提供されるわけですが、

やはりその「現場」からの最も正確な情報は、訪問看護師からもたらされます。

ケアマネージャーも、かかりつけ医師も、訪問看護の現場の生きた情報が

なければ正確で適切な判断を下しにくいので、

情報を共有することがいかに重要であるかが分かります。

このことはもちろん、「訪問看護ステーションおとのい」でも認識しています。

私たちのサービスだけが良ければそれで良いということは絶対に成り立たず、

利用者様を取り囲むように存在している各方面と正確に情報を共有することが

サービス向上の成否を分けます。

こうした連携の重要性は、介護サービスの質的向上というだけでなく、

利用者様本人にとっての安心感にも影響します。

「ちゃんと各方面が情報を共有出来ていてベストを尽くしてくれている」

ということが伝わると、利用者様本人だけでなくご家族にも大きな

安心感となって伝わります。

今は、情報通信の手段が発達している時代です。

「訪問看護ステーションおとのい」も、効率の良い方法を駆使しながら

各方面の連携や情報共有を密にすることで、

サービスと安心感の向上を目指しています。