訪問看護で大切なのは、人間対人間の関係であることを忘れないことだと思います

10 年ほど前までは、看護は女性の仕事という意識が

比較的強くあったと思いますが、

それも少しずつ変化してきており、男性看護師の数が徐々に増えてきています。

男性看護師が増えてきている背景には、

看護には力が必要な仕事があるという他に、

ご利用者様の中にはそれぞれの理由で男性の方が

気を張らずにケアしてもらえるという方がおり、

こういったニーズに応えるために看護師の性別差を

なくしていくことに力を入れているという側面があります。

訪問看護ステーションおとのいとしては、

ご利用者様のニーズに応えるために看護師の数の性別差を少なくしていくなど、

体制を整えていくことも大切なことだと考えていますが、

最も重要なのは、看護師の性別に関係なく、

ご利用者様の「日常」を尊重することだと考えています。

訪問看護師の職場はご利用者様のご自宅であるため、

ご利用者様の気持ちや生活習慣などを尊重しなければいけません。

そのため、同性だからそこまで気を遣わずに看護しても

大丈夫ということにはなりません。

例えば、座薬を入れる時に同性だから大丈夫だろうと

特に配慮せずに投薬してしまい、

その時はご利用者様は何も言わなかったものの、

打ち解けてから「本当は、あの時はすごく嫌だった」と、

傷ついたことを後から打ち明けられて気付かされたというケースもあります。

訪問看護は、ご利用者様の「日常」という本来なら

入り込むことができない領域に踏み込んでいく仕事です。

自分のプライベートなどを全て打ち明けるわけではない訪問看護師に、

ご利用者様は自分自身をさらけ出す必要がある心理的なストレスが

あることをよく配慮しなければいけないと思います。

男性看護師を増やしていきたいというのはご利用者様の

選択の余地を残すためであり、

ご利用者様の気持ちに十分配慮して寄りそうというのは、

看護師の性別関係なく常に大切にしてほしいと思います。

ご利用者様の日常を尊重するというのは、

言葉では難しそうに聞こえるかもしれませんが、

あまり構えて対応する必要はありません。

ご利用者様が「1 日1 回は散歩に行きたい」や、

「最低1時間は趣味に打ち込む時間が欲しい」など、

日常生活へのこだわりや習慣があれば、それを尊重して一緒に近所を散歩したり、

庭仕事や何か趣味を楽しんでいる時は見守るなど、

ご利用者様の「やりたい」という気持ちに寄りそうということです。

訪問看護師とご利用者様は看護する側と看護される側という

特殊な関係ではありますが、

それ以前に、人間対人間の関係であることを忘れずに

接することが何よりも大切なことだと思います。

男性看護師の需要が、今後ますます高まると感じています

少し前まで看護は女性の仕事というイメージが強かったためか、

男性看護師の数はとても少ない状態でした。

しかし、厚生労働省によると、男性看護師の数は10 年ほど前では

約1 万4000 人でしたが、

2012 年には約6 万3000 人と4 倍以上の人数にまで増加しています。

それでも101 万人以上いる看護師の中で男性看護師が占める割合は

6% 程度しかなく、まだまだ少数派といえる存在です。

このように、まだまだ女性が多数を占める看護業界ですが、

男性看護師の需要は今後ますます増えていく可能性があります。

それは、看護には力仕事もあるという点で男性が

求められるという背景もありますが、それだけではありません。

男性によるケアを求めている場合もあり、

そのようなニーズに十分応えきれていないことが

男性看護師の需要拡大の要因と考えています。

男性によるケアを求めるというのはどういったことかというと、

例えば思春期や若い年齢の男性の中には、

女性看護師にケアをしてもらったり相談することを恥ずかしいと思ったり、

抵抗を感じる方もいます。

特に、若い男性のご利用者様であれば、

同性の看護師の方が話しやすくより親しい存在になり、

心を開いて雑談できるなど、話題が合いやすくて日々の訪問看護が

より楽しくなるという側面があります。

また、訪問看護はご利用者様の自宅でのケアとなるため、

ご利用者様にとって最も安心できる環境を尊重しなければいけません。

それにもかかわらず、女性看護師が同性だからと

特に配慮をしなかったためにご利用者様に不快な思いをさせてしまい、

異性である男性看護師を望まれるケースもあります。

以上のように、男性看護師が求められる理由は様々です。

求められる理由が何であれ、訪問看護はご利用者様に寄り添う仕事であるため、

よりご利用者様との心の距離が近くなり、

リラックスしてもらえるように心掛けることが大切だと思います。

そのためにも、訪問看護ステーションおとのいは

看護師の性別差をもっと少なくしていきたいと思います。

また、男性看護師がまだまだ少ない理由の1つとして、

キャリアアップが想像しにくいということもあるようです。

看護業界は女性の割合が非常に高いため、

医療機関などの管理職も女性であることが多いです。

このため、男性管理職のロールモデルが非常に少ないことが

キャリアアップを考えにくい要因になっているようです。

しかし、男性看護師の需要が高まっていくに伴って、

働く環境も少しずつ変化していっていると思います。

そして、男性看護師がキャリアアップしていきやすい環境やロールモデルが

出来上がっていく可能性も十分あると考えられます。

このことから、男性の方には看護業界に対してもっと積極的に

興味を持っていただきたいと思っています。

これから訪問看護師になる方のために、体制をさらに充実させたい

日本は世界的にみて社会の高齢化が特に進んでおり、

それに伴って高齢者の人口は年々増加しています。

このような現状にもかかわらず、

今でも高齢者人口に対して訪問看護師の数は十分ではない状態ですが、

高齢者人口が今後ますます増えていくことは確実です。

そのため、訪問看護師の数を増やすと共に

訪問看護ステーションの体制も整えていくといった、

量的・質的な充実を図ることがかなり重要な課題となっています。

この課題を解決するために、訪問看護業界ではある程度病院で

看護師の経験を積んだ人だけではなく、

新卒者を受け入れて教育し、戦力として育てていこうという動きが

高まってきています。

そもそも、訪問看護と病院看護は業務内容に違いがあります。

病院看護は主治医の指示に従って十分に設備が整った環境で看護を行い、

必要に応じて同僚と連携をとるなどといった業務内容です。

しかし、訪問看護は基本的に一人でご利用者様のもとへ訪問し、

必要最低限の準備でケアをする必要があります。

そのため困ったことや分からないことがあっても、

医療機関のようにすぐそばいる同僚に相談するといったことはできませんし、

看護のために必要なことは自分自身で判断しなければいけません。

こういったことから、日頃からご利用者様の様子をよく観察することと、

現場で適切に対応できる豊富な知識と経験を持っていること、

そしてご利用者様の主治医や医療ソーシャルワーカーなど

様々な人との幅広い連携も求められます。

以上のように、訪問看護と病院看護では働く環境や、

求められる知識と経験に違いがあるのです。

さらに、訪問看護には求められるものが多いため、

新卒のうちから訪問看護に必要とされることはできる限り

教えていこうという姿勢に転向することが、

今後ますます需要が高まっていくと予想される訪問看護にとって

重要なことだと考えられます。

とはいえ、学校のように知識だけ教えて「さぁ、いってらっしゃい」

だけでは訪問看護師は務まりませんし、

新卒者の心身に大きな負担が掛かってしまうと推測できます。

それに、新卒者の負担が大きい体制はご利用者様のケアにも

影響が及ぶ可能性があります。

そのため、ご利用者様が安心してケアを受けられるように

先輩看護師が同行して指導するなど、

新卒者が独り立ちできるようになるまでスキルアップの後押しを

するところも増えてきています。

訪問看護ステーションおとのいは、看護師として経験豊富な方を

受け入れるだけでなく、新卒者も受け入れようという流れには大いに賛成です。

そして、それに加えて「未経験だし新卒でもないけど、

訪問看護師として頑張っていきたい」

という方も受け入れられるようにしていきたいと思います。

さらに、たとえ医療機関で看護師として働いてきたとしても、

訪問看護とはまったく環境が違うために、

慣れないうちは戸惑ってしまうこともあると思います。

こういったことから訪問看護ステーションおとのいは、

新卒だけでなく経験が浅い方も最初は先輩看護師が

同行して指導するなどのサポートを行える体制を

整えていく必要があると感じています。

変わっていくことを受け入れるということ

女優の原田知世さんをご存知の方は多いと思います。

彼女が主演を務めている「セーラー服と機関銃」や、

「時をかける少女」などは非常に有名ですね。

原田さんは14 歳でデビューしてからは女優や歌手として活躍し続け、

「若い頃から変わらない」とよく言われているようですが、

本人は自分自身の変化を認識していて、何かをすごく守っていくとか、

頑張って変わらないでいようとは思っていないそうです。

学生の頃から女優や歌手として華やかな道を辿ってきた方ですが、

そんな彼女も人生の節目節目で転換期を迎えてきたようです。

例えば、20 代半ば頃に女優としての自分と等身大の自分の

バランスが取りづらくなってきて、

ちょうどその時に出会った人達と思い切って新しい音楽をゼロから始めてみたり、

今までの自分を知っているファンが誰もいないスウェーデンに渡欧したり、

様々なチャレンジをしてきたそうです。

そうやってチャレンジし続けて50 代になった頃、

楽しみながらやっていけばいいと思えるようになって、

ふと肩から力が抜けたとお話しされていました。

歌に関しては、「10 代の頃の声はひょろひょろとして

あまり好きじゃなかったけど、

50 代になった今ではそれはそれでよかったと思える、

ただ、低音を出すことができる今のふっくらとした声が好き」とも語っています。

そのように言えるのは、年々変わっていく自分をきちんと受け入れて、

その時にできることをやってきたからだと思います。

どんなに有名な俳優でも、周りの環境だけでなく、

健康面などもどんどん変わっていくものです。

従って、「昔はできていたことが今は難しい」など、

変わってしまったことを気にしすぎてしまう必要はないと思います。

そうはいっても、昔はできていたことを意識してしまうのは

ごく自然なことでもあります。

それに、変化を受け入れることは強要されてするものではありませんし、

受け入れるとしてもタイミングやスピードには個人差があります。

変化を楽しむとなったらなおさらです。

ただ、原田知世さんが語っているように、

以前までできていたことを今も守ろうとしたり、

変わらないでいようとする必要はないのではないでしょうか。

今が楽しいと無理にポジティブに考える必要もなくて、

「今の生活もそれなりに良いと思えるし、自分のことも割と好き」と

考えられれば十分だと思います。

そこからさらにやってみたいことが見つかれば嬉しいことですし、

ぜひお手伝いさせて頂きたいと思います。

少しずつでも「昨日より今日のほうが良くなっている」を目指す大切さ

政治家の原口一博氏は、国の指定難病である

「骨形成(こつけいせい) 不全症」を患っていることを公表し、

闘病生活をしながら実務を続けているそうです。

骨形成不全は国の指定難病の1つで、

骨がもろくて弱いせいで骨折しやすくなり、骨の変形を引き起こす病気です。

息苦しさもこの病気の特徴の1つで、

国会議事堂内を歩く時もゆっくりした足取りで、

階段では手すりを利用して一段一段慎重にのぼっているそうです。

政治家が自身の病について公表するのは、なかなか覚悟のいることです。

しかし、難病の当事者の孤独感をなくすことと、

診断から認定までが難しい難病に対して、

はやく認定にたどりつく環境を作りたいという思いから

公表に踏み切ったようです。

また、原田氏はエコノミークラス症候群も患っており、

国会で長時間座っていると足がパンパンに腫れてしまう状態でもあるそうです。

このように、体がつらい状態であっても以前と変わりなく仕事を

頑張っているのは、たとえ難病を患っていたとしても、

それに負けずに重要な責務を果たせるという姿を見せたいと考えているからです。

そのために、今は業務をこなしつつ時間をみつけて、

水泳やストレッチに励むなどしてリハビリを続けているようです。

これらの病気のせいで以前に比べたらできないことだらけになり、

好きなスポーツもできず、走ることもできず、

悔しさを感じずにはいられない状況ともおっしゃっています。

それでも、目標を持って前向きな姿勢でリハビリに励む姿と、

「リハビリを続けているのは、昨日より今日の方がわずかでも腕を

高く上げられるようになっているからだ」という言葉が心に刺さりました。

私達おとのいのスタッフはご利用者様の側に寄り添って、

リハビリのお手伝いもしていますが、

それでもご本人が一番辛く、苦しいことに変わりはないと思います。

それでも、ご利用者様が少しでも身体面の健康を取り戻していき、

精神的にも健康になっていくことで自分らしさを取り戻していくためにも、

リハビリは欠かせないものです。

なので、無理せず根気強く、時間をかけてでも一緒に

頑張っていけたらいいと考えています。

そして、ご利用者様が日々の生活の中で、

「今日は昨日より歩けるようになった」、

「少し体が楽になった」と感じていただければとても嬉しく思います。

私達おとのいを必要としてくれる方々が、

毎日少しずつでも良くなっていることを実感し、

前向きに日々を過ごしていくために、

心身ともに支えになれるようにさらに精進していこうと改めて思いました。